多焦点レンズは簡単に言うと遠くと近くが見える遠近両用レンズです。2007年に厚生労働省の承認を受け、2008年7月に先進医療として承認されました。
保険診療として認められているレンズは、単焦点眼内レンズと言います。このレンズは若い頃のように見たいすべての距離にピントが合うのではなく、ある1点にピントが合うレンズです。そのため、ピントが合う距離以外を見たいときは、眼鏡が必要となります。例えば、遠くが見えるような度数の単焦点眼内レンズを挿入した患者さんは、運転やゴルフは眼鏡なしでいいのですが、近くの字を読みたい時、スコアカードを見たい時には近用眼鏡(いわゆる老眼鏡)が必要となります。
一方、多焦点眼内レンズを入れた場合は遠くの景色も見え、かつ携帯電話の文字も読めます。もちろん若いころのようにすべての距離が見えるわけではありませんが、遠くと近くが眼鏡なしでもある程度見えるため日常生活は非常に楽になります。
- 単焦点レンズでの見え方
(遠くが見えるようにあわせた場合)
- 多焦点レンズでの見え方
多焦点レンズのデメリット
多焦点眼内レンズでの見え方に脳が慣れるには、年齢や個人間の差はありますが、一般に数ヶ月程度かかるといわれており、単焦点レンズよりも慣れるのに時間が必要となります。
また多焦点レンズはすべての距離が同じようにはっきり見えるわけではなく、下の図のように1mぐらいのところが少し見にくくなります。 このため、場合によっては眼鏡が必要となる可能性があります。
また薄暗い場所や夜にライト等を見るとまぶしさなどが術前より増えることがあったり、色彩が術前と変わることがあります。そのため、患者さんの職業や生活スタイルによっては多焦点レンズにむかない方もいます。
費用と治療の流れ
多焦点レンズでの白内障手術を希望される場合、まず当院に来院してください。一般的な眼科検査、診察を行います。保険診療となりますので、保険証を必ず持参してください。後日改めて予約をとり、術前検査を行います。
2020年4月から、多焦点眼内レンズ白内障手術は『選定療養』の対象となりました。
これは、通常の単焦点眼内レンズの手術に相当する部分は健康保険の対象となり、多焦点眼内レンズの差額分を自費負担いただく仕組みです。
多焦点眼内レンズの種類により差額が異なります。(詳細な値段を知りたい場合には、スタッフにお声掛けください。)
術前検査の結果をもとに、挿入するレンズを発注します。(検査は複数回必要になることもあります。)
手術そのものや通院日程、手術後の注意点等は通常の白内障手術と変わりありません。ただし、手術中の眼症状によっては多焦点レンズの適応がない場合もあります。その場合、単焦点レンズへの変更となります。
この他、わからないことがあれば当院までお越しください。詳細に説明します。
白内障手術を既に受けている方
また、単焦点レンズ(保険適応レンズ)での白内障手術を既に受けている方で、多焦点レンズに興味ある方には、Add-on手術があります。詳細や適応について興味のある方は医師にご相談ください。